私が初めてお会いした方に、「ペット法務が専門です。」と名刺をお渡しして自己紹介をすると
決まって「ペット法務ってどんなことをするのですか?」と聞かれます。
特に一般的に認められた定義があるわけではありませんが、
私なりに一言で表現すると「ペットに関する法律関係全般」と説明しています。
ペットに関する法律にはさまざまなものがあります。
「動物愛護管理法(動物の愛護及び管理に関する法律)」
を筆頭に、法律で有名なものとしては「狂犬病予防法」とか、
有名ではないかもしれませんが、身近なものとしては、
ペットフードの基準規格を定めた「ペットフード安全法」など。
2014年にアメリカで中国産のドッグフードを食べた犬が
1000匹以上死んでしまったというニュースが取り上げられました。
そして「動物愛護管理法」の下にはさらにその内容を細かく定めた、
「施行令」「施行規則」「細目」「基準」「指針」「措置」「要領」と呼ばれる法律の種類があります。
さらにさらに各地方自治体で定めている「条例」や「施行規則」「細目」・・・・と続きます。
地方で定める条例の中には具体的なものも多く、「犬のふん害を防止」する条例や
昨年和歌山県の「野良猫への餌やりを禁止」する条例に対しての県民意見募集(パブリックコメント)が行われたことも話題になりました。
また、ペットを売ったり(ペットショップ、ブリーダー)、ペットのお世話をしたり(トリマー、ペットシッターなど)、ペットの訓練をしたり(ドッグトレーナー等)、ペットを預かったり(ペットホテル、犬の保育園等)、動物を展示したり(動物園、猫カフェなど)もすべて「動物取扱業(者)」として、都道府県知事または政令市の長への登録手続きが必要になりますが、もちろんその登録に関しても業種ごとに基準や管理の方法など法律で定められています。
また「動物取扱業」としてビジネスを行うには、契約書を作成したりして、トラブル予防につとめるということも大切です。
さらに「ペット」を大きく「動物」という枠でとらえると
「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」や
「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)」
なんてものもあります。
「鳥獣保護管理法(鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)」
とかもご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
最近では、ペットに特定した法律ではないですが、
高齢化社会、核家族化の影響で、
ペットのために遺産を残すという遺言や信託契約をするといった法律行為も増えています。
実は、あまり知られていませんが、
民法でもペット(動物)を飼う人やペットを一時的に預かる人への責任が定められているんですよ。
(動物の占有者等の責任)
第718条
1.動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。
2.占有者に代わって動物を管理する者も、前項の責任を負う。
このように、ペット(動物)に関連する法律は多く存在します。
そしてすべての動物関連の法律は「ペット(動物)」の命をかけがえのないものとしてとらえ、
ペット(動物)が適切な環境の下人間との共生を実現できるように考えられ制定されたものであると私は信じています。
当事務所では「ペット法務」専門行政書士として、さらに人とペットが、
楽しく快適な暮らしを送れるよう法律面からサポートしていきたいと思います。